20年前に映画を作り始めて以来、こんなにやりたいと想った企画はありません。
なぜならこの映画こそ、もっとも自分らしい映画だからです。それが僕を9年間もこの企画にこだわらせ続けた、ただひとつの理由です。
坂口安吾が好きだから映画化をしたかったわけではなく、原作を読んだときに、これは自分がやりたい映画だ、と「ピン」ときたのです。
「白痴」は自分の映画の集大成であるだけではなく、これから作られるであろう映画の大いなる予告でもあります。
そして、これが本質的な劇場映画の監督としてのデビュー作となると思っています。


(C)Hakuchi Projects 1998