ヴェネチア国際映画祭

 1999年9月10日にヴェネチア国際映画祭で映画「白痴」がとうとう!!上映されました。
会場には、手塚眞監督・主演の甲田益也子さんが出席しました。

「白痴」上映会場の前の手塚監督(左)と主演女優の甲田益也子さん

今回選ばれた部門「ドリームズ・アンド・ビジョンズ」は、今年から創設されたということで映画祭の中でも最も注目されたプログラムとなり、 当然「白痴」に関しても注目度が高まっていました。
注目といえば、映画祭に来る方の衣裳ですが、甲田さんのドレスも注目度120%だったとか。ヴェネチアに行っていたスタッフから聞いた所によ ると甲田さんの美しさに魅せられて、周りには始終カメラマンが居たそうです。
上映後の記者会見では、「こんなに炎の綺麗な映画は見たことがない」「音の迫力がすごい」「サヨ役の甲田益也子がすばらしい。眉のないメイク も美しいが、人の魂の奥まで見透かしたような、その目がすばらしい。」などと大絶賛!
そして今回嬉しいニュースが届いています。なんと、CG映像の優れた作品として[FUTURE FILM FESTIVAL DIGITAL AWARD VENEZIA]を受賞しました。 日本の映画では唯一の受賞でした。
今回の「白痴」ヴェネチア映画祭上映は、映画祭としてはよい出だしだったと感じつつ、次回の映画祭上映にも乞う御期待!!



ヘルシンキ映画祭



1999年9月19日、ヘルシンキ映画祭で世界では2回目の映画「白痴」上映が行われました。会場は満員御礼、所狭しと「白痴」に期待を震 わせたフィンランドの方々でごった返しました。
ヘルシンキ映画祭の印象としては、{アットホーム}な観客層。映画というものがごくごく身近な文化という感じで、皆さんピュアな目線で映画を見 られていたようです。そして、劇中一番驚いたのが異常なほどの{笑い}。日本では多少笑いは起きたものの、これほどは・・・という位に始終笑い が絶えなかったようです。果たして、ヘルシンキではどのような印象だったのでしょうか。ある意味で考え深い映画祭となったようです。
 

会場に貼られた「白痴」のポスター



京都映画祭



1999年9月23日、京都映画祭にて映画「白痴」の上映が行われ、 手塚監督・主演の甲田益也子さん・橋本麗香さんが舞台挨拶に臨みました。 関西では初上映とあって2回上映とも満員の大盛況で、急遽9月24日に追加上映が行われました。監督によると「もうすごく熱くて、観客のみなさん が大声を発してフィーバーしていた」そうです。舞台挨拶では、監督からジョークが出るほど盛り上がっていたようでした。日本でもどんどん盛り上が りを見せてきたと実感した映画祭となりました。


記者からの質問に答える橋本麗香さん



釜山国際映画祭

熱かった!
行く前にプサン映画祭経験者の人から「プサンはいいぞぉ」とか「プサンの観客は熱い!」とは聞いていたが、それはホントだった。
10月15日と20日の2回、上映が決定。そして、オープニング・セレモニーや舞台挨拶のために、手塚監督、甲田益也子さん、橋本麗香さん、プロデュー サーが2泊3日で、プサンに行くことになった。
14日の夜は映画祭オープニング。ホテルから会場への専用バスで移動するのだが、なっ、なんとパトカー、白バイあわせて約10台ほどのSPがつく。 ほとんど国賓クラスの待遇!今、韓国では映画産業が盛んで、映画人は国家として支援していく体制だそうだ。そんな待遇をされれば、招待される側は 当然気分がいい。
15日の上映当日。お客さんがきてくれるか心配だったが、開場後まもなくで満席となった。そして、休憩を挟んで舞台挨拶とティーチイン。みんなここ ぞとばかりに、ものすごい勢いで前の席に移動してくる。日本で何度か同じようなシーンに立ち会ったことがあるが、こんな積極性は感じなかったよう な気がする。質問の内容は、「キャスティングについて」や主人公・伊沢の心理描写など、次々と熱心に質問が飛んでくる。監督は丁寧に答えつつ、手 応えを感じているようだ。
そんな中、ウラでは、次々と取材のオファーが増え、当初のスケジュールには全くなかった特設野外ステージでのトークショー・イベントの出演まで。 注目してくれるのは嬉しいが、急きょとなると話は別だ。監督たちの体力や集中力、そして集客などがまたしても心配に…。って思っているうちに、映 画祭スタッフはこちらの心配をちーっとも気にせず、「大丈夫だからやるのサ」とばかりに着々と準備を進めていく。こちらからすれば、実に臨機応変 というか、場当たり的というか…。
お客さんもみるみるうちに集まり、「レ・イ・カー(麗香)!」「コウダ!(甲田)」といった声が飛んでくる。恐るべし、プサン・パワー。
また、監督は分刻みのスケジュールで、パーティへ出席。着いた途端に取材、取材、取材。こんなにもマスコミからも興味を持ってもらえるのかと、正 直驚いた。上映前と後の反応の違いにかなり驚いたが、逆に反応がストレートだというのに気づく。
これは、映画祭スタッフから聞いたのだが、今韓国では“日本ブーム”だそうだ。
今まで韓国では日本の情報を制限してきて、日本のモノを指示することは“非国民”とされてきた。しかし若い人にとっては、あまり日本に対するわだ かまりはなく、他のアジア地域同様、日本のアイドル・雑誌・映画・音楽など、潜在的に注目度は高かったらしい。そうした状況を聞くと、映画への熱 気を感じるのもわかるような気がする。ちなみに、韓国では浅野忠信ファンは結構いることが判明。
映画記者が、いかに浅野クンがカッコイイかということを熱く語っていたのが印象的だ。

(レポート・「白痴」宣伝部 堀江可奈子)


↑こんな会場で映画祭が行われました

↓甲田さんに群がる韓国のカメラマンたち






札幌デジタル映画祭




小雪の舞う北海道、札幌市。11月25日(木)、松竹遊楽館にて「札幌デジタル映画祭」の幕が上がりました。オープニング上映は「白痴」。
オープニングセレモニー出席のため、手塚監督、古澤プロデューサーが札幌へ行って来ました。
オープニングセレモニーでは、沖縄の高嶺剛監督(最新作「琉球夢幻つるヘンリー」が映画祭で上映される)とともに壇上にあがった手塚監督。「通常み なさんは、映画を出来上がった作品を見るだけ、いわば表から見ているに過ぎないけれども、映画祭では、映画監督やプロデューサーが集まり、製作者サ イドからも映画をのぞきみる事のできる特別な空間です。是非、楽しんでいって下さい」とごあいさつ。続くパーティでは、沖縄民謡が流れる会場で、映 画祭スタッフやボランティア、観客の方々が集まり、映画を作る人と、見る人の垣根を越えた交流が行われました。



高嶺剛監督と共に舞台挨拶に立つ手塚眞監督



カメリマージュ映画祭




1999年12月2日に『白痴』を上映した「カメリマージュ映画祭」から、うれしい知らせが舞い込んできました。『白痴』では2度目となる賞受賞 の知らせがきたのです!!
その名も“SILVER FROG”!! そう、直訳すると“銀のカエル”賞を受賞したのです。優秀な映画カメラマンに賞を贈るこの映画祭では、今まで『ピアノ』 『ザ・クロウ2』などのカメラマンが“GOLDEN FROG”を受賞しています。
今回、この賞を受賞した『白痴』のカメラマン、藤澤さんのコメントは、まだ届いていませんが、突然の受賞に困惑している様子だとか。賞の名前も名前だ けに(銀のカエルと急に言われても・・・)、未知の賞であることは確かです。トロフィーなどはまだ届いていませんが、届いていないだけに銀のカエルの 形をしたものすごい物を想像してしまったのは私だけなのでしょうか。本物を観るのが楽しみだな、と思いつつも2冠目の受賞に湧いている『白痴』スタッ フルームでした。





新ラテンアメリカ映画祭

世界最後の共産主義国という事で、日本に入ってくる情報もガソリンが配給制でしかも不足気味とか、そんな不安にかられての映画祭参加だった。逆に監 督共々それを期待して行ったフシがあるのだが、農業国から脱皮すべくスペイン統治下の文化遺産を大切にしながら大規模な都市開発が急ピッチで進められて おり、もののみごとに裏切られた感があった。今回で20周年を迎える新ラテンアメリカ映画祭は、米国との国交再開も手伝い活気があった。「白痴」の上映 は、今回の映画祭上映に尽力してくれたピースボートスタッフの事前の宣伝や根回しが効を奏し、日本映画で唯一スペイン語字幕が無い不安はあったものの、 途中退場する観客もなく好反応を得ることが出来た。翌日、7日に行われた記者会見は、150席が埋まるほど盛況で、思いの外内容や日本文化の深層に迫っ た質問が多く飛び交った。しかし一方で、帰国途中の空路で私の荷物一式が紛失するなど、映画祭成功への犠牲も大きかった。

(レポート・「白痴」プロデューサー 古澤敏文)

↑舞台挨拶をする手塚監督

↓『白痴』はキューバ国民にどのようにうつったのだろうか?

 


(C)Hakuchi Projects 1998