7月16日(木)

恒松画伯、木枯邸に入魂


7:30 先発全パート 
8:00 本隊出発
8:30 浅野忠信入り
9:00 S#116 ・111撮影
11:00 草刈正雄入り
12:30〜13:00 植樹祭・取材

相変わらずの全体出発、少数本隊出発。
午前中は「伊沢が奇怪な木枯の部屋に入っていく」という昨日の残り部分の撮影。
「木枯が書いた絵」という設定で多数の作品を制作してくれた恒松正敏画伯。
クランクイン前の5月に、監督、恒松氏、美術デザイナーの花谷氏、助監督の僕の4 人で打ち合わせをした。花谷氏と恒松氏は、打ち合わせ前から好きな映画の趣味が 合い、話が盛り上がっていた。さらに、監督の資料で持ち込まれた日本画に「これ は晩年になったらチャレンジしようと思っていたモチーフなんですがねー」とどん どん話は広がりっていく。当初、3点ほど書いてもらう話が、作品点数は増えるば かり。恒松画伯自ら、「じゃ、これも書きましょうか」と意気込み、気付いたとき には、3倍ほどの分量に。ちょうど、個展と音楽活動もしている画伯のライブが重 なった、慌ただしい時期。「で、撮影日はいつごろですか?」との、恒松画伯の質 問に、監督、花谷両氏は、笑顔のまま無言で僕に視線を送る。スケジュールに余裕 を持たせようとしていた僕も、さすがに「1ヶ月後」とは言えず、「まあ、あの、 詳しく決まってないんですけど。だいたい2ヶ月後くらいかな〜。ん〜、2ヶ月弱で すかね。」と、目線を反らす。途端に恒松画伯は「いや〜、きついですねー。ん〜」 と腕組み。監督は「そうですね。やっぱり時間かかりますからね」花谷氏は「これ だけの点数があるからね。時間かかるよ」等と言い出す。「もともと依頼した点数 を、恒松氏の気がいいことに増やしたのは、あなたたちでしょ!」と、心の中で叫 ぶ僕。3人とも途端に歯切れが悪くなり、うつむいてぶつぶつと。内心僕も「無理 かな〜」。しょうがないので、数を減らす相談をしようかなと思ったのもつかの間。 画伯が「まあ、やってみますよ。頑張りますから」の一言でそそくさと、会談終了。
その後、画伯は監督の事務所の下の空き部屋に、寝袋を持ち込み、それこそ不 眠不休で描き続けていたらしい。「現場に顔出しますよ」と言っていたにも拘らず、 その時間さえとれず、たまにある打ち合わせの電話以外、画伯と会う事はなかった。 そして、その全貌が昨日見せられた。見事に描かれているだけではなく、点数はさ らに増えている。「いやー。描いてるうちにね」と恒松画伯。「でも、今までで一 番きつかった。普通一枚を一月くらいで描くからねー」との言葉に、僕はその場を そっと離れた。
11:00には草刈正雄さんが現場に到着。出番は午後からなのだが、昼食時に映画ロケ を記念して、監督・浅野さん・草刈さんで「大棟山美術博物館」に木を植える「植 樹祭」に出席するため。その間すっかりくつろいで撮影しているスタッフは、差し 入れの西瓜をがぶつきながら、青空の下のんびり風に吹かれていた。
ところが、山の天気は変りやすい。午後の撮影が始まるといきなり雨が降りだした。 雨戸を閉めた室内撮影のため、映像的には影響はないのだが、問題は音。屋根にあ たる雨音が台詞にかぶってしまう。狭い現場に入りきれず、外でのんびりしていた 僕たちは、一転して土砂降りの中、屋根や軒下に毛布やぼろ布を敷き詰め消音対策 にほんろうされる。そして、世の中の常として、ようやく作業が終わったときには 雨は止んで日が差してきた。……。



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